【銘柄分析】太陽化学(2902)への投資を考える。


こんにちは。
早速ですが、ポートフォリオの再主力として迎え入れた太陽化学(2902)の購入理由に
ついて述べたいと思います。


目次
1.事業内容と事業戦略
2.財務状況と決算推移
3.株主構成
4.まとめ


1.事業内容と事業戦略

三重県四日市市に本社を構える機能性素材メーカーで、以下の3つのセグメント展開です。

食品業界には、清酒メーカー以外であれば営業提案できる素材があると言われており、ホームページでは2,000品目超の取り扱いと謳っています。


カッコ内は21年3月期の売上高、営業利益、営業利益率です。
・ニュートリション事業
 カテキン・テアニン等の緑茶関連品、機能性食品、ビタミン製剤、ミネラル製剤
 (売上高 8,571百万円、利益2,215百万円 利益率25.8%)
・インターフェイスソリューション事業
 乳化剤・乳化安定剤・乳化製剤等の品質改良剤
 (売上高 10,048百万円、利益1,854百万円 利益率18.4%)
・アグリフード事業
 鶏卵加工品・蛋白素材、乾燥食品、食品素材
 (売上高 20,485百万円、利益1,008百万円 利益率4.9%)


どの事業も黒字である上に、ニュートリション事業・インターフェイスソリューション事業の利益率が非常に高いです。カテキン類 国内No.1シェア、グァーガム類(水溶性食物繊維)2004年から量産開始、テアニン2009年製造特許取得 等々、多岐にわたる素材群を要しております。ポテンシャルある素材を選び抜き集中して大きく成長させてしていくことが当社のシンプルな戦略と理解しています。
また近年はアメリカ、アジアを中心に海外展開も積極的であります。
海外売上高比率 2019年15.3%→2020年16.3%→2019年18.0%




さらに今後はニュートリション事業・インターフェイスソリューション事業への設備投資を進めていくと明言されており、得意なところを大きく伸ばしていくというメッセージであり、非常にポジティブに受け止めています。現に売上高は過去7~8年横ばいなものの、営業利益・EPSは順調な伸びを見せており、品目数が多数ありながらも利益率の高い製品へのシフトが進んでおります。さらに、最近でもアグリフード事業内のフルーツ関連のビジネスを手放しており、ビジネスチャンスの「選択」と「集中」が宣言通り実行されている好例かと思います。


設備投資(上:R2有報、下:R3有報)については、時期ズレも一部発生していますが、
年単位で見れば概ね順調です。
最上段の化粧品原料は機会損失が発生している状態とのことで、さらなる売上高の増加に寄与できそうです。


2.財務状況

 自己資本比率78.0%の鉄壁で、借入金も銀行との付き合い程度の451百万円のみです。
   営業CFも増加傾向で、投資CFには定期預金の出入があるため額面通りではないものの概ね良好ととらえて良いと考えております。過去3年間は自社株買いを積極的に行っております。
特に本年についてはすでに3回の自社株買いを行っています。
 



3.株主構成

本銘柄は実力十分なのに評価されにくい理由、それは名証2部単独上場であることと、さらに大きな理由としては、株主構成にあるものと推定されます。
こちらが21年3月時点の株主構成です。

上位の法人はすべて創業家の資産管理会社と見られますので、なかなか入り込める余地がないです。(およそ30%強)
このため、アクティビストが入ることも相当に難易度が高いです。
ポジティブに捉えれば、時価総額が小さいこともあり、小さな個人投資家のみが入っていける領域ととらえなおすこともできます。


4.まとめ

本銘柄の特徴をまとめます。
・素材メーカーにありながら特別なポジションを持っており、食品メーカーとしては
 異色といえる利益率を保てている。
・売上高に固執せず、利益率を高めていく戦略が明白に見えている、
 国内<海外志向をしており、海外高売上比率は年々上昇している。
・自社株買いを機動的に行っており経営者の戦略・質も決して悪くない


過去5年PER7.9~15.3で現状PER8.3に甘んじていることから、
EPS220円(EPS10%成長)*PER12倍=2,640円あたりがまずは意識したい水準かと思います。
リスクとしては、競合の出現・原材料高騰・天災等による工場の稼働停止・食中毒等の事故等になりますが、競合以外は他社にも共通のリスクとなりますし、競合については現時点では一歩二歩リードで来ていると考えてよいかと思います。

利益率の上昇と自社株買いによるEPSの伸びは上記の通りで、PER一桁代とは思えない伸びに見えます。


地味ながらも競争力のあるこの会社を一株主として見守っていきたいと思います。