【銘柄分析】ビオフェルミン製薬(4517)への投資を考える。

本銘柄について取り上げられていた記事がありましたので、
こちらを十分参考にしながら、自身の投資判断の備忘録として作成しました。

事業内容

乳酸菌製剤メーカーであり、大正製薬の子会社。乳酸菌効用を根幹に消化器官系に特化し
た医薬品「ビオフェルミン」(一般用医薬品・医療用医薬品、下痢止薬・便秘薬・胃腸薬)・医薬部外品・食品の開発・製造・販売。主力商品は乳酸菌が主成分の整腸薬「新ビオフェルミンS」「ビオフェルミン錠剤」、下痢止薬「ビオフェルミン下痢止め」など。ビオフェルミン製品に関する独占的販売権は武田製薬から大正製薬に譲渡(2015年に終了)。主要取引先は大正製薬(90%超)。


取扱商品としては、やはりビオフェルミンが中心となります。
・整腸薬品「新ビオフェルミンS」「ぽっこり整腸チュアブル」
・「ビオフェルミン下痢止め」「ビオフェルミン止瀉薬」「ビオフェルミン便秘薬」
・腹部膨満感・便秘「ビオフェルミンVC」、「ビオフェルミン健胃消化薬錠」
・医療用医薬品(耐性乳酸菌整腸剤「ビオフェルミンR散・R錠」、ビフィズス菌整腸剤「ビオスミン配合散」)



今後の展望について

まずは最新のBSから資産の管理状況を振り返ってみます。


(表1)



概算ですが、資産がおよそ300億のうち、負債が28億また純資産275億となっており、
ほとんどが自己調達されていることが確認できます。自己資本比率は90%超です。
(表1)
また貸倒引当金が一切設定されておりません。これは親会社の大正製薬を通じての商流となっているため、貸倒が発生しないものと推察します。


正味流動資産は
+現金及び預金 140億 
+売掛金 31億
+有価証券 18億
ー負債合計 28億 =161億円となります。
時価総額が277億円となりますので、
差し引き116億円の事業価値とマーケットに判断されている状況と考えます。


この評価は妥当なものなのか?
sliceは過去10年間の通期業績から事業価値を推察することとしました。


(表2)

本銘柄は10年以上赤字はなく(表2)、緩やかながら継続的な成長が見込まれています。
2018年売上110億円のうち売上10億円を超える商品は、2品目あります。
「新ビオフェルミンS」は売上の68億円、「ビオフェルミン錠剤」は20億円を占めており、いずれも過去5年間の売り上げは非常に安定しています。


製造原価は41億円・販促費および一般管理費計39億円となりますので、
およそ110億円-(41億円+39億円)=32億円が営業利益となり、
利益率にすると驚異の29.35%です。(過去10年間20%を下回っていません。)
薬九層倍とは正にこのことですね。


毎年30億前後を稼ぎ出す本企業が116億円の事業価値しかないのは、
ややミスマッチのように思えます。
さらにPERが11.9倍・PBRが0.99倍となっており、
東証全体から見ても割安感が否めません。


同業他社(医薬品)で利益率20%超の銘柄をスクリーニングすると、該当6件のみであり、PBRはいずれも1倍を大きく上回る状況でした。(表3)


(表3)



一般的に、TOPIX(東証株価指数)の平均的な期待収益率は6%程度になると言われています。このため割引率6%でのDCF法による株式価値算出を行いました。(表4)
フリーキャッシュフローは過去12年間の平均値を入力していますが、
直近5年間はマイナスもなく、保守的に見積もった数値を入力しています。
(表4)


結果は、389億円の価値(現在価格277億円)であり、
140%の価値が認められるものとなりました。
このため適正株価は2281×1.4=3193と考えます。



まとめ

私は、本銘柄の特徴的な下記3点に着目しました。
①自己資本比率90%超 
②高収益体質
③PER・PBRの割安さ
上記3点に着目しました。


PER/PBR推移を確認すると14年以降では最低値をつけているようですので、
これ以上の下落があれば下値で拾う価値が十二分にありそうです。


一方ですでにかもねぎさんからコメントがある通り、
本会社は親会社による完全子会社となっており、株価低迷による買収リスクなどはなく
割安のまま放置される可能性があります。


今月9日に3月期の決算がありますが、これを前に株価は下がり続けており、
十分な割安圏にあると判断しています。
sliceは決算前にポジションを半分とり、決算後にもう半分の買い付けを実施する予定です。ポジションの大きさについては、後日記載したいと思います。